Lマウントアライアンス、L2テクノロジーどれを見てもパナソニックのライカへのコンプレックス、異常なまでの執着を感じられるのだが、その始まりともいえる機種がこれDMC-L1である。
もちろん、これ以前にもパナソニックはLEICAレンズを搭載したコンデジをリリースしてはいるが、本格的に一眼に進出したという事実を踏まえ、事実上のライカコンプレックスの始祖と言ってもいいだろう。
過去記事でもいくつか言及している。
まず見てくれを見てみればわかるのだが、まあM型への異様なコンプレックスで溢れている。持った感じもそれっぽい。
オリンパスのPEN-Fがライカコンプレックス、バルナックライカそのもの! とのたまうカメオタもいたが、あれはどう見てもPENだろう。操作部が多いのはデジカメだから仕方がない。
パナにはそういった過去の遺産がない。
ライカをまねるしかなかった。
また、ソニーのように独自デザイン(ブリッジコンデジ時代は奇怪なデザインのカメラを乱発していた)もできず、劣化M型みたいなものになってしまった。
ベース機であるE-330が独自のデザインなのと対照的である。
とはいえ、後継のL10が普通のデザインだったのと違い、このプアマンズライカ路線は確かに一定の成功を納め、現在の中古価格もヤフオクで良品15000円前後で推移しており、ベース機のE-330の倍以上、オリンパス機で同額の相場なのはフラッグシップのE-3ときている。
プアマンズライカとしては当時の強気な価格設定といい、意味はあったのかもしれない。
が、操作性はよくない。
シャッター同軸のシャッタースピードダイヤルがそもそも使いにくいが、あのシャッターボタンの位置は、握った際にストラップ金具に指が当たり、非常に押しにくい。
ライカの猿真似をしたいあまり、シャッターダイヤルなんかつけるからだ、と言いたい。
またレンズセットのLEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH.であるが、LEICAの神通力で評価している人が多いが、クソレンズである。
ズームリングが機能しなくなる持病があるのだが、分解してみるといい。
とんでもなくチャチなつくりで、同じく家電屋のカメラと馬鹿にされていた当時のソニーのAマウントレンズと比較してみてほしい。
たしかにソニーの場合、ミノルタもしくはタムロンのOEMだった可能性があるが、じゃあ、パナのこれはどこがつくったんだ?? シグマやタムロンのようなレンズメーカーがつくったようなものには思えない。
当時高級レンズとしてリリースされたはずだが、ほぼすべてにおいてオリンパスの14-54が勝っている。14-54が唯一負けているのはゴムがすぐ劣化して溶けてしまうことだけ(この時期のオリンパスの持病)だ。
何がくそなのか。
つくりがチャチといった。
このレンズ、異様なまでに埃が混入するのである。
これも分解すればいいが、入らないほうがおかしいというレベルでスッカスカだ。
おかげで分解がしやすい。
逆にオリンパス14-54は埃の混入などめったにしないが、その代わりつくりがガッチガチで素人では分解に手こずりそうなうえ、そもそも不具合がゴム融解くらいしかないので、分解する必要自体がない。
しかし、これまたライカの神通力で中古価格は20000円~30000円の間で推移しており、14-54は数が出たとはいえ、5000円前後なので、はるかに高い。
とはいえ、売り出し価格も高かったし、このレンズ目当てで買った客も多かったという。
でもね、写りもAFもどちらもよくない。
ただパナソニックのレンズにしてはデザインが大変よく、所有感がある、というのは事実だ。MFTになってからライカレンズはより一層安っぽくなってしまったのは残念だ。
キットレンズへ話がそれてしまったが、L1へ戻そう。
E-330(もっといえば名機E-300)がベース機なのでファインダーもシャッター音も悪くはない。
液晶はオリンパスのゴミ液晶と異なり、わりとよいものを使っており、現在の仕様にも耐えうる。当時主流のCFではなくSDなのも使い勝手がよい。
プアマンズライカとしては及第点だろう。
冒頭でも述べたようにライカコンプレックスに溢れており、同じようにプアマンズライカと呼ばれている富士のPROシリーズと比較しても、L1の方がずっとM型っぽい。
というのも、富士はパナほどライカコンプレックスをこじらせておらず、レンズデザインがライカへ寄せる気皆無(最近はキヤノンに寄ってきている始末)なので、レンズ込みだとそんなにライカ感はないし、弁当箱っぽいデジタルMに似ているのはL1の方だ。
画質については、あまりよくない。
初期のパナのMOSセンサーは評判も良くないが、まあその通りである。全体的にイエローグリーン味があり、カラーノイズも目立つ。
また、L1はバッテリーがL1専用のため、バッテリーが枯渇しているという問題がある。
オリ機はEシリーズは共通バッテリーで潤沢な出物が中古市場にあふれており、E-400シリーズとE-620のバッテリーは現行のPEN及びE-M10シリーズと共通なので新品が手に入るため、バッテリー問題はない。
パナはバッテリーメーカーでもあり、L1の電池端子はビデオカメラのそれに酷似しているため、流用なのかもしれないが、頻繁にバッテリーを変更するのはダメだろう。
さて、最初にライカコンプレックスの塊といったが、そのいきつく先がフルサイズ市場への参入だった。
最後までフルサイズに参画しなかったオリンパスや、する気0の富士と違い、どうしても参入したかったのだなあと感じる。そうまでしてライカに心酔するのだろうか。
なぜだろう。
コントラストAFに拘泥したのも、画質優先主義だったが、これも他のメーカーが容易に像面位相差へ切り替えたのと違い、ライカコンプレックスにも思えてならない。