E-620はボタンが光るというあまり見受けられないギミックに興味を惹かれ、購入をしたかったのだが、なかなかよい出物がなかった。
エントリー機は外観が美品でもカビが生えていたり、埃だらけということが多い。
さて、今回入手したのは比較的綺麗な個体だった。
レビューとは無関係なのだが、きれいな個体を入手するとうれしくなる。
単純に得したという気分もあるが、カメラ自体に「おまえは大切にされていたんだねえ」と言いたくなるのだ。
まあ、防湿庫に眠っていただけかもしれないが、防湿庫に入れてもらえるのは恵まれたカメラで、パンピーが買ったはいいものの使わなかった系のカメラはぱっと見は綺麗だが、メンテがされておらず、ファインダーやミラーがカビだらけ、ショット数は100回とかそういうことが多々ある。
これでOLYMPUSのフォーサーズ機はE-1,E-3,E-5,E-300,E-330(売却済),E-520(売却済),E-620と7機目で、フォーサーズ機でいえば、DMC-L1,DMC-L10も含めて9機目である。
で、レビューはしていないのが、1万円で買ったE-3が新同品のように綺麗な子だった。
しかもワンオーナーではない。しかも、私の前のオーナーも中古で買ったという。
ショット数は1万枚を超えており、2万枚が近く、大して使わなかったカメラではないようだ。しかしそのショット数に対して、とてもきれいだった。
私で三人目なのか、もっと多いのかは知らないが、これだけ美品だと、とにかく大切にしなければならないなあと思うのだ。
まあそこまで綺麗な子ではなかったが、手振れ補正も問題なく機能していた。
これは大事である。E-620の持病に手振れ補正の故障のしやすさがある。
最初に抱いた感想は、グリップが悪い、ということだ。
E-M10M2も所持しているが、グリップの悪さがよく似ている。
フォーサーズ機は500番台も400番台もコンパクトさのわりに、そんなに握りにくい感はなく、このグリップのよさがEシリーズだと思っていただけに、なんじゃこりゃああああ! だった。
しかし、MFT機のグリップはまあ、だいたいそんなもんで、グリップを求めるならE-M1系列しかないから、小型軽量路線の端緒、400番台と500番台を統合し、MFT機へつなげるための橋渡しの機種、そう感じた。
ゆえに、グリップだけではなく、ボタンの配置もE-M系列によってきている。
フォーサーズは事実上E-620で終わったが、まあ、終わりの機種、そういわれれば納得の機種であった。
しかしながら、ファインダーは悪くなく、シャッターフィーリングも悪くない。
むしろ400番台500番台よりもよくなっている。MFもしやすいファインダーであると思った。
ただ背面液晶は相変わらず当時の水準で見ても質が悪く、またAFがとても遅い。E-300と並べてAF-Sで撮り比べてみたが、そこに5年の進歩はなさそうであった。
かなりイライラするレベルのAFであり、14-54IIをつけても改善しない。
ピント自体はあっているし、内蔵モーターではないから、純粋にダメダメなのだろう。特に低照度の被写体には絶望するほど合わず、また、とても遅い。
E-1と比べてみたが、E-1の方がずっと早いくらいだった。
クロスセンサーに処理が追い付いていないという話をきいたが、ならなぜ搭載したのか。
MFTに移行してしばらくしてからはAFはよくなり、個人的には動体さえ取らなきゃキヤノンと大差ないと思っていた(ゲームチェンジャーと呼ばれたE-M1M2は今ではしょぼいかもしれないが、当時はミラーレスが一眼レフと遜色ないことを証明した名機だと思う)が、正直これだと微妙だなあという出来である。
また画質もあまりよくなく、E-300の方が優れているように個人的には感じた。
CMOS初期と円熟したCCDでは違いがあるのかもしれないが、そもそもE-300自体がレンズキットで10万円以下を目指した格安機で、E-620もそうだ。どっちもエントリー機なのだ。
当時のオリンパスは安さで勝負をかけていたようだが、これが結局のちに祟るわ。
まあ、それはおいておいて、同じ廉価機として設計されながら、いまだにE-300に根強いファンがいるのにE-620には見当たらないのには、この辺もあるのだろう。
バッテリーがこれまでもBLMではなく400番台、PENと共通になったのもよくない。
これでは400番台500番台のユーザーの買い替え需要を喚起できなかったと思われる。どうせMFTになればアダプター経由でないとフォーサーズレンズは使えなくなるわけで、あえてこの機種を買うメリットはなさそうである。
なにせ、400番台よりも重いし、500番台と比べるとグリップがしょぼい。
非業の機種と言わざるを得ない。
エントリーユーザーの敗戦処理を一任されたといえる。一方、ハイエンドユーザーの残党狩りをしたのはE-5である。
まあ、あまりよいカメラとはいいがたいが、小型一眼レフとしてはよくできた逸品であろう。なにせボタンも光る。
ただ最大の不満は、せっかくいい場所にあるFnボタンに割り付けできる機能がほとんどないことだ。オリンパスはこのあたりのツメが甘い。
E-620を使って、あまりにも遅いAFにイラっとしたところで、α700を引っ張り出してきてみると、令和現在でも遜色ない速さでびっくりする。やっぱりAFは大事。