●ビデオカメラというものについて
ビデオカメラ自体購入は初めてである。動画はオマケ派だったし、あまり重要視していなかったのである。
HC-VX2MSは2022年9月に発売された比較的新しい機種で、Panasonic公式ストアで89,100円で、量販店で買ってもだいたいこの価格と大差ない。パナの価格統制の影響だ。
また、昨今はビデオカメラ、いわゆる家庭用のハンディカム製品は完全にオワコン状態で、近場の電気店ではHC-VX2MS以外に売っていなかった。
SONY機すらないのである!!
まあその店はキヤノンの一眼レフコーナーすら消え去り、Rも影も形もなかったが……。
で、今買う場合、10万円以下としては選択肢としてHC-VX2MSかFDR-AX45、FDR-AX60ぐらいしかないのだ。
もう少し安い機種もあるが、スペック的に満足できまい。
もう少し出せば、X1500とかFDR-AX700とかあるけど、セミプロ用のJVCのGY-HM185が買えるから、どうかなあという感じ。
というわけで選択肢があまりなく、動画素人の私には、ビデオカメラはNikon1シリーズもびっくりの小フォーマットのものばかりなので、パっと見、あまり違いもわからず。
1インチセンサー機もそこそこあるのだが、光学ズーム倍率はあたりまえだが低く、そんなことならAPS-Cで便利ズームでもいいのかなあと思ったりする。
GY-HM185はズーム倍率は低いものの、開放F値が高く惹かれたが予算オーバーであった。
そして、低価格帯のビデオカメラと比較的ハイエンドな機種の違いはフォーマットサイズでも光学ズーム倍率でもないと調べてわかった。
音響性能と物理UIである。
というのも、後述するがハードウェアは気に入ったものの、VX2MSの物理UIが大変使いにくいのだ。イライラするレベル。そういえば、フォーカスリングもねえ。(Nikon1のレンズでも酷評してるんだけど、マジフォーカスリングなしはイヤだ)
その代わり、大きなマイクが搭載されている。
一眼のマイクは基本ごみクソだから外部マイク必須だが、ハンディカムは一応これでもいけるようにできているようだ。
20万円台のビデオカメラになると外部マイクが標準搭載されており、30万円台になると複数の外部マイクを搭載できるようになり、100万円台になると複数のワイヤレスマイクと連携できるようになる。
しかしながらここでも、光学性能はほとんど大差ないように見えた。
センサーも違いが判らない。ただ、数百万円の業務用だと三板式になるようだ。これはあきらかに画質が向上する。偽色でないもんねえ。
動画勢はlog撮影とかLutがどうだーとよくわからないことを言っているが、私は全くわからない。logってなんだよ……。Vlogとは違うんだよね??
30fpsと60fpsって何が違うんか、とか。映画って24fpsだし、そんな違うんか? とか。今のデジタル映写機は事実上48fpsという話を聞いたことがあるけど、どっちみち60fpsじゃなくない?
で、重要なのは物理UIである。
スチルカメラもまあ差はあるが、UIについて、ビデオカメラほど、レンズ交換式ならKissと1Dとがそんなに違うわけじゃない。
M200ほど簡素化されるとキツいが。
だが、ビデオカメラはこの物理UIが全然違うのだ。
VX2MSはタッチパネル操作を強いられる(MFもだ!)のだが、あまりタッチパネルの精度がよくないし、バリアングルを開いた状態でタッチするとやりにくく、かといって、本体に密着した状態では撮影がしにくくなる。
が、30万円台の機種だとだいたいの項目の物理スイッチが壁面にごちゃごちゃついていて、使いやすいのだ。
スチルより設定事項の多いビデオのハイエンド機、業務用機では物理ボタンがアホのように多い。
さらに、ビデオカメラとスチルカメラの最大の違いだと思ったのがバッテリーとSDカードスロットの入れ替え方式である。
どっちもむき出し(SDはスライド蓋)なのだ。
JVCの過去のハイエンド機種では4スロットというのもあったようだ。
スチルと違い、途中で欠けては話にならないのでバックアップ体制へのコストがかかっている印象である。
バッテリーは即座に交換できるようになっており、上位機種はホットスワップでSDの交換ができ、延々と撮影可能になる。
いちいち電池蓋をあけるスチルとの違いだ。
●ハードウェア物理UI
前置きが長くなったがVX2MSのレビューに入る。
ズームはもちろんパワーズームなのだが、最近のネオ一眼のパワーズームは大変早く精度もよく、もちろんこのVX2MSのズーミングも特に遅いとも思わない。サっとズームできる。
撮影中の写真撮影(スチル撮影ボタンを押すとキャプチャする)に、なぜか枚数制限があるのがちょっと意味不明だが4Kフォトとかもあるし、そっちを使えということなのだろうか。
ビデオカメラの経験はないので、まあ可もなく不可もなくだが、筐体デザインはいいものの、プラ感ばりばりで安っぽい。かなり安っぽい。
もっとローエンドのハンディカムと質感は大差がない。
しかし、ハードウェア回りはとても気に入った。
レンズバリアがついているし、インナーズームだし、バッテリー外付けというも悪くない。また、一眼の蓋ってぺろぺろのゴム蓋であることが多く、違う場合も開閉式のプラ蓋なのだが、VX2MSのSDスロットはスライド式だった。
とてもよい。液晶の裏にSDスロットがあるのも便利でいい。
またほとんどの操作部を液晶で隠せるため、デザインがかっこよくできる。
ホットシューも大きなヒンジ付きのカバーで隠れているのもよい。
こういったハードウェアアクセスはとても気に入った。スチルのホットシューカバーはすぐどっかいくし、むき出しはカッコ悪いし。
また液晶を閉じるとスリープし、あけると起動する。起動も早く、サっと撮影できるようになっている。
USB端子とは別に電源供給用端子があり、これで充電もされる(でもチャージャーはつけろ!!)。
昔の一眼はAC電源用端子が結構ついてた気がするのに、なんで廃止した? USB給電もなかなか採用しなかったし。
キヤノンはKiss Mですら不採用だったぞ??
ピントリングがないのは困るし、TWスライドスイッチ式のズーミングは好きではないが、ハードウェアのUI回りの設計思想の違いが面白い。一眼でも採用してほしいものも上記したようにいくつかあった。
とはいえ、ハードウェア形状、UIがあまりにも違うので、慣れていくしかない。
また、ハンディカムというかファミリー用ビデオカメラは昔と形状がだいぶん違っているが、スチルカメラは保守的で半世紀前と形状が同じだ。この辺もUIデザインには大きく響くだろう。
●ソフトウェアUI
クソだ。マジクソ。G9のUIはよくできていたが、なんだこれクソ。
明らかにインタフェース設計チームがパナの映像部門ではなく、家電部門がやっただろ?? と思う出来。ブルーレイ再生機とかと同じようなUIなのだ。パナの家電のUIマジクソだから。
ブラビアと連携とかいってるし、本当にそうなんだろうなあとしか思えない。
とにかく使いにくく、いちいちガイドがでてうざく、撮影した動画の確認ですら四苦八苦した。
どうにかしてくれ。ハードウェアUIはどうにもならんにしても、ソフトウェアUIはどうにかなるだろ、と。
●ネオ一眼との違い
基本的によく似ているが、最初に述べたようにバッテリー交換やSD交換がしやすい設計なのがハンディカムで、そうなっていないのがネオ一眼だ。
またネオ一眼は画質(センサー)はよいが、音響はあまりよくない。ハンディカムは逆だ。
そして最大の違いは方手持ちを基本とするのがハンディカムで片手で操作する設計になっているが、ネオ一眼を片手で使うアホはおるまい。結構重いし。
●画質
センサーはCMOSではなく、MOSらしいが、違いはよくわからない。
サイズ自体は1/2.5しかないが、有効画素が4Kに合わせて829万しかないため、開放F値1.8~4ということも加え、あまりノイズはでない。
24倍ズームだが、下手な一眼で撮るよりも写真が綺麗な場合もあるだろう。
センサーサイズはフォーサーズの方が3.3倍大きいが829万の3.3倍は2736万画素で、OM-1が2037万画素なので、そんなに画素ピッチに差がない。高感度耐性は同程度だろう。
12-200が約17倍ズームだが、F値が3.5~6.3だ。
また小センサーなので実はマクロにも強い。
ただ普段一眼で動画を撮っていた以上、画質に満足はしても、高評価を与えることは難しい。
買った理由は手軽に動画を撮影するためで、用途はパパママカメラマン御用達の運動会や発表会である。
昨年の運動会はH1と50-140で撮影したため、比べるまでもないのだが、H1と50-140は電池は食うわ、でかいわで取り回しが悪いのは事実であった。軽いは正義は真実。