最近は猫も杓子もAFAFAFAFAFAFだ。うんざりするくらいだ。
まるでカメラのすべてはAFで決まるかのような論調が幅を利かせ、かつての画素数至上主義を思い起こさせる。
人体や顔にAFする機能はコンデジにかなーり昔からあった気がするのだが、最近はとてもうるさい。
このAF喧伝はSONYが始めたものだが、さすがSONYである。
SONYが世界のSONYになれて、松下が世界の松下になれなかったのは単純にマーケティングだ。
技術的差異はない。
これはSONYの技術が低いという意味ではない。高い技術だけでは商売にならん、ということだ。なぜSONYが過去最高益を更新してしまったのか。
ジョブスも憧れた企業なのか。
日本企業にはないものを持っている典型的な会社だ。相反するのがトヨタで、まことに日本的会社だ。
カメラだって、コントラストAFであそこまで爆速を実現するパナソニックの技術力は高い。
SONYがカメラデザインをほとんど変えてこないのもよくわかっている。
パナ機はすぐに操作体系や外観が大きく変更されてしまうため、後継機なのに買う気が起きないということが頻発する。
フォーサーズ初期のDMC-L1からL10になった時点(L1ユーザーの多くはL10を買う気にならなかっただろう)からそうだった。
SONYはデザインと操作体系の変更を最低限にしておくことで、「後継機がない問題」を解決している(最近は富士でPro2難民、T3難民、今度H1難民が出た)。
さて、画質だの画素数だのは指標としてわかりにくい。
好みの問題、用途の問題があるのだ。
この点、AFはわかりやすい。誰が使っても早いAFは早いのだし、被写体認識の精度がかわるわけでもない。
AF不要論者はいるが、正確で素早いAFがデメリットになることはないし、あって困ることはないのだ。
MFが好きならMFで使えばいいだけで、何もデメリットがない。この点、他の要素は明確なメリット・デメリットがある。
SONYが像面に切り替えコントラストAFオンリーにしないのも、ウォブリング問題があるからだ。
確かに像面だと画素欠損が発生するが、等倍鑑賞厨以外にはデメリットがない。一部のキチガイにとってのデメリットなど「ないのと同じ」だ。
さらにテスト撮影でも、大体似たような場面ならだれがやっても同じようにAFは働く。作例では構図やセンスの差がどうしても出てしまうが、AFテストにそれは起きない。
つまり、AFというのは指標としてとんでもなくわかりやすいのだ。
かつてミノルタがそれで一時期一番手に躍り出たことからもわかるだろう。わかりやすかったのだ。
個人的には2000年代の一眼レフのAFで左程問題は感じないし、AFが遅い遅いいう富士フイルムだってそんなに言うほどか? と思う。
いやたしかにXF10とか像面とは思えないほど遅かったよ。確かに。90年代のフイルム一眼の方が早かったからね。
最近は画素数もあまり言わなくなった。
インパクトのある一億画素を喧伝するのがきかれるが、最近のトレンドはなにはともあれ、猫も杓子もAFAFAFAFAFだ。
そもそもスチル勢としては動体AFだってずっと追尾してくれなくてもまあ、どうにかなるし、被写体認識で正確に追尾するC-AFとか別にね・・・。S-AFで早けりゃいいよ。その瞬間にパっとあえばいいんだから。
ずっと追尾する必要はどこにもない。
てか、AF競争になったらスマホに勝てないよ。
むこうはネット経由で常に最新のプロファイルを得ているからね。
ついで予言しよう。
最近スマホは中望遠ズームも搭載してきたし、そのうち一眼並の性能の画像処理エンジンのASICを搭載するのは間違いない。そうなったときが一眼の死ぬ日だね。
でもそんなことはメーカーはわかっている。
だからオリンパスは遂に撤退したし、パナはフルサイズ参入したし、シグマはいつまでもボディを出さないし、ライカは益々高級路線化を極めてM型以外はいつでも切れるよう(SやSLがパナOEMと自供したしね)にしておいてるし、リコーはマニア向けしか作る気ないし、ソニーとニコンはハイエンド機以外やる気なし。
唯一キヤノンだけがエントリー機にも熱心だ。
RPみたいな機種を出してるし、レンズも安レンズをどんどん投入している。R7やR10だって高級路線化が進む中、性能比で考えてお手頃価格だ。
私が思うに、やっぱりカメラ専用機の大衆文化を最後まで死守しようとするのはキヤノンなんだろうなあと薄々思っていたが、どうも正しいようだ。
もうひとつ予言しよう。これからクラウドファウンディングで一眼が増える。
というのも、センサー以外の部材が画像処理エンジン含め、コモディティ化されるからだ。
あとは35㎜センサーの汎用品をソニーから買えば簡単につくれるようになる。
クラシックボディの35mm一眼がどんどんでてくる。もちろん中身はシャッターレスのミラーレスなわけだ。
ミラーボックスやレンジファインダー、シャッターユニットみたいなのは枯れた技術だが、工作精度の関係からなかなか組付けや量産は難しい。
一眼レフが陸続と生産中止の中、ミラーボックスは今後外販されないだろうし、カメラ用レンジファインダーが外販されているとは思えないし、シャッターユニットはいまのところ外販されているが、シャッターレスは既定路線なので、数年後はもう売っていまい。
なんちゃってM型がクラファン出てくる。多分、バルナックとかも。
外装はそれなりに金をかけるだろうけど、ファインダーは素通しかEVFだね。液晶はいくらでも買えるから。
真鍮製バルナックライカ(デジタル)が一台150万円とかでクラファンされるよ。絶対にね。