日本人は韓国の工業製品を憎んでいて、世界でシェアの大きいヒュンダイすら、全く売れない。
特に、自動車やカメラのような国産が強い工業製品に韓国製は殆ど楔を打てていない。あのサムスンですら、Galaxy名義での国内販売を余儀なくされた。
もっとも、最近は韓国に対して若い人はポジティヴイメージが多く、30歳以上とは温度差がある。
とはいえ、サムスンがまだカメラメーカーだった時代は日本では逆風ばかりだった。
PENTAXなんてサムスンに技術を盗まれたとカメオタは大騒ぎだった。
もっとも、サムスンは盗めてないないし、PENTAXはサムスン製センサーを安価に導入できるのでWINWINだった(このころのPENTAX一眼がわりとニコキャノと戦えていたのはサムスン側の電子的な技術に関する技術供与があったのだろう)。
そもそもサムスンは世界最大の半導体企業のひとつであり、カメラ用センサーでもソニーに次ぐ二番手で、日本人が神のようにあがめるiPhoneにも採用されている事実を忘れてはいけない。
2010年頃のサムスンのムーブはパナソニックやソニーと酷似している。
パナソニックはオリンパスと協業、ソニーはコニカミノルタ(イメージング部門)を買収(譲渡?)、サムスンはPENTAXと協業。そして、三社ともイメージセンサーを製造していた。
パナがミラーレスをリリースした後、日本ではソニーが参入したとされているが、世界初のAPS-CミラーレスはサムスンのNX10であって、ソニーではない。
サムスンはわりとガチめに参入しており、レンズも一通りそろっている。
10mmフィッシュアイ、16-50 f2-2.8というf2始まりの標準レンズ、18-200mmの便利ズーム、サンニッパ(2014年に発表されたが撤退したためリリースされず)、85mmf1.4、30mmパンケーキ、60mmマクロ、標準パワーズーム、広角ズームが存在し、存在しないのはテレ300mmの望遠ズームくらいだ。
2010年~2014年という短期間で揃えており、本気だった様子が見て取れる。
16-50mm f2.0-2.8の存在は非常に興味深く、使ってみたくなる。
現在はRF 28-70 F2やパナの10-25㎜ F1.7があるが、当時はオリンパスの14-35 f2くらいしかなかったはずで、意欲作だと思う。
日本では正規リリースすらなかったが、海外ではよく売れたらしく、ミラーレス以前からシェアを拡大していたようで、この時点では非常に意欲があったようだ。
また、サムスンはNX10以前からGX-10というPENTAXのOEM品をリリースしている。パナがオリンパスのOEM品であるL1やL10を出していたのと酷似している。
しかし、サムスンは2015年に事実上撤退した。
日本人は知らないかもしれないが、サムスンは結構伝統的なカメラメーカーで、フイルム時代から製造していた。
明暗ははっきりしている。パナの一人負けだ。