ずっとほしかったカメラである。
私は投げ売りカメラが大好きで、G9ProとX-H1も持っている。
投げ売りカメラはいい。
悲哀があっていい。
ちなみに、いまもR-D1とK-01が投げ売りされていたとき買えばよかったと後悔している。
あのときは小金がなかったのだ。買えばよかった!! なぜか私が買い逃した投げ売りカメラは高騰する……。買ったやつはしない。
ついでいえばライカのMの限定版が半額で投げ売りされているのにも遭遇したが、投げ売りでも100万近いので無理にもほどがあった。リセールを考えれば買えばよかったのか??
ちなみにG9はいまだに投げ売りされているのでずっと生産しているよう(3年も半額以下で売っているほど生産したとすればアホすぎる)だし、M1Xは投げ売りになってからもずいぶん長い間売っていたが、H1はわりと素早く捌けてしまった。
生産数が当時から富士は少なかったのか、ディスコン決断が早い(E4なんか一瞬でディスコンになったし)からなのか。
で、X-H1は結果を言えば大変気に入っており、よく使っている。
メニューを開かなくても何でもできちゃうのがいい。あと、蓋がゴムでないのも素晴らしい。
G9は悪くはないが、パナのUIがいまいち好きになれないのと、どうしてもH1と比べて質感がよくない。
で、E-M1Xである。
開封してみて思ったのは、巷で言われるほど大きくはないな、であった。
一体式としては軽量コンパクトだと思った。
E-5に縦グリつけたほうが重いしでかいわ!!
ただ、EVFをのぞいてげんなりした。
E-M1M2と同じだというEVFは2016年のスペックである。当時ならまだしも、フラッグシップでこれはないな……と思った。
30万の価値はなさそうだな……と。
30万で買ったやつは後悔したに違いない、と。
握った感じも、G9やH1のような「こいつ高いカメラ」だな感に乏しい。なんかしょぼい。E一桁機みたいに、持った瞬間、こいつタダもんじゃねえな! 感がない。
デザインも1DXとDシリーズへのあこがれ(左肩)が見え隠れしているのもよくない。
SDカード蓋のロックやAC電源があるのはいかにもプロ機ではある(2000年代のエントリー機にはAC電源があるけども)が、肩液晶って不要(ゆえに、H1では電池残量のみ表示しているが、これは便利)だけど、あると高そうな感が増すのだな、とは思った。
G9とM1Xどっちがいいか?
G9だな、と思う。
私はE-5ももっているが、E-5はその貫禄でキャノニコのフラッグシップに負けていない。オリンパスがフラッグシップとはこういうことだろう? ああん? とお出ししただけのことはある。
それがM1Xには感じられなかった。
E-5はフォーサーズに引導を渡すためのオリンパスデジタルカメラ史上最高傑作(E-7は出ず、E-M1では力不足だったため、E-M1M2が出るまで使用する人も多かったという)だが、一方、E-M1Xの場合は、あろうことかリリース直後にE-M1M3が発売されてしまった。
これはH1の半年後にT3が出た状況に酷似していて、投げ売りは必至であった(G9は単純にパナのスチル機に20万以上出す奇特な人物などいなかっただけで、G9を明らかに凌駕する機種はいまだに出ていない。IIはスペックダウンが見られるし質感もイマイチ)。
ただダイヤルだけはよかった(H1もG9もダイヤルがエントリー機かと見紛うほどショボい)。
EVFは色々調整はしたもののコントラストが高く、モヤっとしており、お世辞にもいいとは言えない。
E-M10M2も所有しているが、このEVFは完全に小さな液晶がそこにあるだけという酷いものだ。どうもオリンパスはEVFの技術がよくない。
E-5で見せた黒魔術はどこへ??
結局のところ、個人的な憶測にすぎないが、右肩の無駄な空白にはおそらく有機ELの肩液晶が搭載される予定だったのだろうし、OM-1のセンサーは本当はE-M1Xのために設計が開始されたのではないかと疑っている。
充電器だって新規開発する予定だったんじゃないか。二個つけるなんてアホすぎるもの。
EVFも本来はもっといいものが搭載される計画だったに違いない。
ただ100周年には間に合わず、パージされるのが決まった部署ゆえに予算もなかったのだろう。