G9やE-5を使っていると、フォーサーズが敗北した理由が性能ではないな、と思わざるを得ない。
たとえばG9のAF性能はすごい。
像面位相差非搭載にも関わらず、像面位相差搭載機のはずのリコーや富士のカメラより明らかに早い。キヤノンのEOS MシリーズもDPCMOS搭載機だが、G9より遅い。
2019年発売で、AFが日進月歩の中、最新機種にも見劣りしない。
認識AFもアップデートで更新され続けており、非常に優秀だ。
また、コントラストAF機は明暗のはっきりしない黒一色、白一色といったものが苦手だが、G9はわりと得意できちんと合焦することが多い。
ただ、結構ウォブリングは大きく、これが批判の的になったのだと思うが、純粋にAF速度でいえば、とてもコントラストAF機とは思えない速度だ。
ついでにいえば、低照度の被写体でAEする際に富士やニコンでは画面が一瞬露出オーバーとなる現象(ミラーレスではおなじみのやつ)があるが、G9にはない。
画質に関してもISO6400でも常用できそうな感じでノイズ耐性がある。
MFTのセンサーは需要と供給の関係から、ソニー製センサーでもAPS-C機よりだいたい一周遅れなのだが、後れを全く感じさせない。
そもそもオリンパスもほとんどセンサーを更新することなく、同時期のAPS-Cとあまり大差のない画質だったのだから、技術力の高さがうかがえる。
またフォーサーズ陣営は、ダストリダクション、ハイレゾ、コンポジット撮影、手振れ補正、ライブビュー、プレキャプチャーなどの飛び道具を早期に導入し、常にリードしてきた。
このあたりの性能ではソニーも追付けていなかった。
E-5はフォーサーズのくせにでかいとこきおろされたE-3のマイナーチェンジだが、まあ、ファインダーが見やすい。
何の黒魔術を使っているのか知らないが、あんな小さいミラーでどうしてこうもよく見えるのかは謎である。
まあ無暗にコストがかかったであろうことは想像に難くないが、他社がAPS-Cで見えにくいファインダーを出す中、E-5は別格に見やすかった。
オリンパスはカメラ事業から撤退してしまったが、一部のファンたちがフルサイズを出してほしかったと悔やむのも、わからなくはない。
技術的には劣っていたとは思えず、不利な条件の中、健闘していた。だからこそ同じ土俵で戦う姿が見たかったのだろう。
実際、フルサイズに参入したパナのSシリーズは売れていないが、評判はとてもよい。クソデカクソ重という悪評以外は悪い話をきかない。
G9がフルサイズ参入の実験機だったのは明らかで、G9の性能の高さから見るに、使ったことはないがSシリーズは相当に使い勝手がよさそうだ。
では何で失敗したのか。
5chを見るとよくわかるが、MFT叩きともいえる異様な連中の存在がある。
最大の失敗は、彼らの存在を許してしまったことだ。
彼らはネトウヨみたいなもので、どこにでも湧き出し、狂ったようにネガキャンする(一体全体あんたは何の利益があってしているのか? と毎度思う)ので、無関係な一般人に左翼の悪印象を植え付けてきた(左翼思想は低級国民にこそ有効なのに最早それを語ることすらできない社会となった)のと同じく、どこにでもいるMFT叩きを生きがいとする連中は、ことあるごとにMFTを叩き、一般人に悪影響を与えてきた。
個人的に、アニメアイコンとネトウヨとMFT叩きをする人物は相関すると思う。
結果、ほとんどのパンピーが換算F値という妄想を受け入れてしまった。
これは一番影響がデカかかったように思う。
まとめると、理由はこんな感じだろう。
・印象操作に失敗した。たとえば、マイクロという名前が小さい、画質が悪い、というイメージを先行させた。
結果、フォーサーズ叩きという存在を生み出してしまった。
・換算F値という妄想が一般化してしまった一方、フォーサーズ=パンフォーカスに強いというカウンターイメージを打ち出せなかった。
・ミラーレス=軽量コンパクトという印象を与えてしまった。現在、ミラーレスは巨大化しており、ミラーレス=軽量コンパクトなんて思っている奴は少なくなってきたが時すでに遅し。
・パナはLUMIX銘をやめるべきだった。フルサイズになってもLUMIXなので、やはり印象がよくない。なぜ拘泥するのか意味不明だ。
・望遠が有利なのに手ごろな望遠レンズが全然でなかった。フォーサーズでは70-300しかなく、しかもシグマのOEMで専用設計でなかったし、ほかの望遠はパンピーが手を出せる価格帯にはなかった。
MFTも長らく75-300と100-400しかなかった。
末期になって75-300は大幅値引き、さらに望遠を次々リリースしたが、遅すぎた。少なくとも12-200を早期にリリースしていれば流れはもっとマシだっただろう。
・E-7がリリースされなかった。旧来のフォーサーズファンに悪印象を与えた。少なくともE-M1と同時に、像面位相差搭載のE-7は出しておくべきだっただろう。E-7を5年併売すれば許されたと思う。
MFTもいつまで続くのか? という疑念をマニアユーザーに持たせた罪は重い。おかげで、収益率がオリンパスは常に悪かった。マニア層の購買が少なかったのだ。
・オリパナの連携がイマイチだった。
オープン規格なのでもっと仕様を詰めるべきだった。オリパナで、ズームの回転方向が逆、パナレンズには絞りリングがよくついている、パナはレンズ手振れでオリはボディ手振れ、パナは色収差をボディで補正でパナはレンズで補正、と真逆の仕様が散見され、しかもパナの一発目のズームレンズ14-50の段階ですでにそう。
MFTになったときが統一のチャンスだったのにしなかった。
対称的なのが富士フイルムだ。
富士フイルム機はアナログ操作、ポエムで売っている。性能は悪い。しかし、収益率も悪くない。まるでオリパナの逆だ。
あまり性能の高くないカメラをマニア受けするパッケージで売る。印象操作に成功しているといえる。
富士フイルム機で他社に勝っていることは、縦グリに電池が2個入るので、合計3個のバッテリーを使えることと、ダイヤル類が多いのでファンクションキーを使わずに機能の切り替えがしやすいこと、絞りリングがレンズ側にほぼついていること、肩液晶のカスタム性が高いこと。
このくらいで、画質やAF、連射と言った写真撮影自体にかかわる機能で他社に対して強みと言えるものはない。