デジカメVSスマホ。
本当にうんざりするくらい耳にするが間違っている。
そもそもフイルム時代も、一般人はコンパクトカメラ、写ルンです発売後は写ルンですで撮ってた。
レンズ交換式なんぞ使っているやつは後ろ指を指されるカメラオタクだったはずだ。
むしろ、一般人がレンズ交換式を使っていた2005年~2015年くらいがカメラ史上「異常な時代」だったに過ぎない。
なにせ、フイルム時代はさすがにKissだって5万円以下でレンズキットは買えなかっただろう。しかし、この10年間は、型落ちならレンズキット2万円台ということもある異常な時代だった。コンデジなんて5000円で買えた。
そりゃ、買うよね。
性能がよくなったとはいえ、エントリー機でもボディで10万円。コンデジなんて高級品しかないから最低8万くらいから。これで買う一般人はいない。
で、スマホっていうのは、写ルンですやフイルムコンパクトの後継者なのよ。
その証拠に、スマホ大好き世代にチェキは刺さっているだろう? カメラ女子は衰退したのに、チェキはいまだに莫大な利益を富士フイルムに与えているだろう??
21世紀で一番売れたカメラはチェキ(カメオタには残念なお知らせだが)だし、20世紀で一番売れたカメラは写ルンですだよ。
それが全てだ。
そもそも、写ルンです自体がその異様な便利さのために、コンパクトフイルム市場を食ってしまった。スマホと同じだ。スマホはコンデジ市場を食ってしまった。
別軸として考えないといけない。
レンズ交換式が売れないのは、単に、投げ売りがなくなったからにすぎない。
実際、子供が生まれるとカメラを買おうという人は多いが、ちょっとまえなら5万円なので、まあ皆買っていたが、最近はソニーのαを買おうとしても10万超え。躊躇して結局買わない人は多い。
ならコンデジは?
これはいいカメラ=交換式という図式が一般人はあるので、コンデジはスマホと同じカテゴリなので、買うことはない。スマホで十分と考えるからだ。
スマホはブローニーから続く「お手軽カメラ」の最先端にすぎない。
35㎜のレンジファインダーから続く「カメオタ向け」(ここではプロの話は除外)のカメラの系譜とは異なる(戦前もライカはプロ機でもあるが、金持の道楽品の側面が強かった)。
そもそも、お手軽カメラの系譜は一貫して、撮影の簡便さを志向してきた。
ラチチュードの広いフイルムを使い、パンフォーカスで撮影することで、ピント合わせをこの世からなかったことにした写ルンですなどその最たるものだ。
スマホのカメラアプリも勝手にそれなりに撮ってくれる。押すにはシャッターボタンだけでいい。
一方、オタク向けカメラは機能の拡充を図ってきた。だからどんどん大きくなった。バルナックライカよりも、D850はかなり大きい。一方、スマホはブローニーよりもずっと小さい。
しかし、この区別もついに消えそうではある。
ずっと前からコンデジには顔認識は搭載されてきたし、AFのわずらわしさを解消するために、必須機能として研究されてきた。スマホも同じだ。
タッチパネルやアートフィルターもコンデジが先行した。動画機能もだ。ほぼすべての分野において、デジタルではコンデジが先行してきた。そうなると、デジカメの本流はニコンでもキヤノンでもなく、ザクティだったのかもしれない。
本当の貢献者が表舞台に現れないのは歴史の常だ。
交換式もカメオタに遡及する新機能を盛り込んではきたが、ついにソニーがこれまで「コンデジの領分」だった瞳AFなるものを、カメオタ向けとして発表した。これは転換点だった。
カメオタ向けも「お手軽カメラ」がお手軽さのために開発してきた機能をどんどん取り込むようになった。
プリAFやプリ撮影、動画切り出し、アートフィルター、タッチパネル、USB給電。もはや、カメオタ向けカメラもシャッターを押すだけよい状態になりつつある。
こうなってくると、今までのブローニーの子孫、35㎜レンジファインダーの子孫の区別はなくなる。
ますます一般人は買わなくなるだろう。わざわざでっかいコンデジは買わぬ。
また、シャッター押すだけカメラには、かつての一眼レフにあった「威光」がないのだ。一眼レフは素人には扱えなさそうな雰囲気があった。
それはもうない。
そのうち、スマホカメラと何が違うの? と言われるようになる。
そもそも、フイルム時代だって、威光こそあったが、結局同じフイルムを使っていたので、「何が違うの?」感はあったわけだ。
そのせいか、私は最近、一眼レフ回帰になりつつある。
ミラーレスの撮らされてる感とカメオタは言うが、それとも違う。でかいコンデジ感に我慢できなくなってきたのだ。