Camalpaca

なんかアクセスが増えて驚いてます。多くの人が見ていると思うと急に過去の文章が恥ずかしくなってきたので、誤字脱字とか雑な改行や色変えとか直そうかなあと思います。よろしくお願いしますね。いったん修正した記事も戻していくので、また来てくださいね。

スマホが一眼を超える日

 スマホの撮像素子は35mmの一万倍は売れているだろう。
 大仰じゃない。なにせスマホは年間数億単位の台数が出るんだぞ。加えて、監視カメラなんかも極小センサーだ。あわせれば数十億というセンサーが年間に出るはず。

 ソニーはおそらく35㎜用の何十倍、いや、何百倍もの資金を投じて開発しいている。
 実際、オリパナ以外はシェアの小さいシネカメか、ファクトリー用にしか売れなかった4/3センサーがAPS-Cに比べてセンサーの更新が年単位で遅れていたのも、そういう話だ。シェアが少ないから当然、開発費も少ない。

 またスマホのAIや画像エンジンにはカメラメーカーが束になってもかなわないほどの資金が投じられている。
 サムスン、アップルといった企業は単独でも全カメラメーカーよりも資金を投じているに違いない

 そんなスマホが、センサーサイズが大きいだけのカメラに対して低性能でいられるだろうか。
 ソニーセミコンは2024年にはスマホカメラが一眼を超えるといったようだが、そうだろう。
 実際、スマホの画像処理、人体認識は一眼では全くかなわないし、スマホはグローバルシャッターだし、ISO25から撮影できる。ついでにいえば、被写界深度が浅いからこそ、スマホはAIの認識に有利であるし、後処理の幅も広い
 ぼけた画像をパッキリ解像にするのは至難の業だが、逆は容易なのだ。

 前にも書いたが、カメラの撮像素子の歴史は小型化の歴史だった。大判、中判、35mmとどんどん小さくなっていった。
 前にも述べたが、オリンパスが4/3を始めたのは、この歴史を踏まえてのことだろう。二眼レフとともに中判が栄え、RFとガンレフによって35㎜が栄えたように、デジカメでは4/3だ、と。

 これは間違っていた

 しかし、21世紀のデジカメの歴史はだいたいオリンパスの後追いの歴史である(逆に、旭光学・ペンタックスは21世紀デジカメの失敗の歴史の集合である)。センサーの小型化、ミラーレス化、本体手振れ補正、ダストリダクションの重要性、ライブビュー、テレセントリック性、一眼動画、プリ撮影、ライブコンポジットなどなど。
 オリンパス自身は失敗したが、ビジョンそのものは間違っていなかった。そう、小型センサーが35㎜を殺す、という予見は間違っていなかった。

 スマホ(極小センサー)が35㎜を殺しに来るのだ。

 35㎜は当時あまりにも小さかったが、引き延ばし機によるプリントを前提にするという新機軸によって、ライカは35㎜で大判中判を瀕死に追い込んだ。
 中判はのちも命脈を保ち、フイルム時代の末まで存在したが、ついぞメインストリームに還ってくることはなかった。マニアが風景写真用に使うものだった。

 スマホ(極小センサー)もまた強力なソフトウェア処理を前提にして、その小ささを補完してくる。イカが引き延ばし機で35㎜の小ささを帳消しにしたように、だ。