レンズで大事なのは所有感。これはかなり大きな部分を占める。
ずっしりした金属筐体。鏡胴。マウント。
トルクのきいたリング。
かっこいいデザイン。
大事だ。
しかし、最近、富士フイルムのXマウントレンズ群のデザインが、GFXのレンズ群に寄ってきている。つまり、「現代風」、キヤノンの「使い捨てレンズ感」が強くなっている。
最近発表された18mmF1.4は所有感の大変低いレンズである。デザイン的にも鏡胴的にも、リング的にも。
性能はAPS-Cでは群を抜いて素晴らしいようだが、所有感のないレンズは食指が動かない。
キヤノンは、初代EOS以来、所有感というものをどぶに捨てて、「使い捨てレンズ感」に振ってきたように思う。
キヤノンに対抗できないメーカーは、Xの富士にせよ、ライカにせよ、所有感で勝負してきた。ここで、中華レンズの中には非常に高い所有感のあるレンズがあるのが、その証拠だ。所有感は「性能」と互角に戦えるのだ。
シグマは、そのレンズの所有感が低いのに対し、逆に、ボディの所有感が高いのは、シグマのカメラがセンサーの解像以外の性能が極めて低いからだからだ。所有感で補填するのだ。
SONYやパナは家電メーカーだからだろう。所有感の「所」の字もない。
特にパナのレンズ群はひどい。
パナは光学ドライブ用のプラスチックレンズをつくってきただけあって、非常に高い光学技術を有し、レンズ自体の性能がかなり高い。が、多くのレンズのデザインとビルドクオリティが「おもちゃ感」であふれており、え・これが5万か・・・みたいな気分になってしまう。
日本メーカーは、カメラメーカーに限らないが、「性能主義」という面が強い。しかし、カメラは昔のように好事家のものに戻りつつある。
性能主義は捨て、「所有感」の高いレンズをつくっていったほうがいい。富士は路線を間違っている。
だいたい、いまどきのレンズはどれもこれも性能がいい。
タムロンの高倍率ズームや、オリンパスの12-200も全然使えるレンズだ。ズームできよう悪かろうの時代ではない。
だから、お金をかけるなら、レンズではなく、鏡胴やリング部にしてほしいものだ。 ただこれに関しては、道を間違っているように見える富士が一つの回答をくれている。
XC35mmF2だ。
これはXF35mmF2と全く同じ光学設計だが、外装が金属かプラか、絞りリングはあるのか、という違いで、2万円違う。
XCは約半額なのだ。高級外装レンズと廉価外装レンズを用意してくれるのもありがたいと思う。
XC50-140F2.8とかXFの半額で出せば売れると思う。