銘匠光学(TTArtisan)なる中国のレンズメーカーである。
最近の中国製は驚くばかりであるが、このTTArtisanの35mmF1.4というレンズがすごい。8000円前後で買えるのだが、これが8000円というのはすごい。
金属製のキャップに、総金属鏡胴、金属マウント。MFだが、自然なピントリング駆動と絞りばねの操作性を持つ。ビルドクオリティは大変高く、バリもひっかかりもない。箱もなかなか丁寧なつくりをしている。
映りに関しても、特徴はないが、普通に解像する。何も悪いところはない。というか。8000円だ。文句は言えない。
すごいのは高級感があることだ。
十倍の値段がするコシナのMマウントレンズと比べて、まさか10倍の値段差があるとはだれも思うまい。映りにしても、作りにしても、だ。
どうしたら8000円でつくれるのか。
むしろ、私は国内メーカーのレンズがぼったくっているのではないか。と逆に思ってしまう。
Viltroxがいい例だ。Xマウントの同じようなスペックのレンズの半額以下(4割くらい)の値段にも関わらず、金属フードがつき、AFは純正よりも早いとさえ言われる上、描写も文句がない。
あまりの出来の良さに、トキナーにODM提供しており、トキナーがXマウントに参入すると同時にガワだけ変えてトキナーのレンズとしてリリースされる始末だ。
ViltroxはXマウントがオープンになる以前からリバースエンジニアリングでAFレンズをつくっていたことを考えるとすごい。逆に言えば、純正Xレンズはぼったくりではないのか。そういう疑念がわく(実際、タイではレンズによっては半額以下で販売されているという話をきく)。
銘匠光学やViltroxはヨンヌオやNEEWERのような、明らかなコストダウンが見えたり、コピー元が明らかに存在するレンズメーカーとは異なる。
光学系は独自設計っぽいし、作りもきれいだし、品管もちゃんとされているように感じる(日本のメーカーのレンズもゴミの混入というのは頻繁にあるが、そういったこともいまのところない)。
ただ最大の弱点がある。
デザインがクソいダサいことだ。擁護できないレベルでダサい。
このあたりはツァイスだのライカだのが圧倒していて、性能面ではそれほどではない。中国のレンズメーカーはデザインを頑張ってほしい。
ぶっちゃけ、いまとなってはサムヤンも出来のいいAFレンズをリリースしているし、ズームレンズ以外では日中の技術差はほとんどいないような気がするのだ。
だからこそ、批判が多くてもRFとZはマウントを公開しないのだと思う。
ある意味、ズームレンズの技術で言えば、キヤノンやニコンよりもタムロンやシグマが勝っている可能性も高いわけで、中韓レンズメーカーに対抗できるのは、実はタムシグという話になれば、マウント公開なんてすれば自爆することになる。
さらに疑念がある。
Viltroxや銘匠光学はどこかの下請けだったんじゃないか? という疑問だ。
PC関連だと、きいたこともない中国メーカーが実は20年以上の実績ある老舗で、超有名メーカーのOEMやODMをやっていた、ということがある。