Eマウント移行組が口をそろえてAのEVFはよかった、と言う。
α77のEVFは、確かに2011年当時としては圧倒的だっただろうと思う。
なにせ2019年発売のオリンパスE-M1Xよりもずっと素晴らしいEVF(オリンパスのEVFはもともとゴミだが)だからだ。
現行機と比べても遜色ない(暗所だとノイズが多いが年式的に仕方がなかろう)。
私はH1の高精細なEVFを絶賛してきたが、正直、遜色がない。8年後に出た機種と比べて遜色ないというのは驚愕だ(追従性は違うと思うが)。
ただ、私が入手した個体は実は二機目で、一機目は相当酷使されており、EVFが焼けていて黄色かったが、今回入手した機体は1万枚以下であった。
なので、発売当初に近いEVFの程度だと思われる。
人(パンピー)によっては、少し使っただけではEVFだと気づかないのではないか? とすら思った。
Aマウントはこれまで一眼レフだったにもかかわらず、途中からミラーレス化するという軌道変更をなんとかユーザーに受け入れてもらいたかったという意思を感じる。
だからファインダーの見えやすさには細心の注意を払っていたのだろう。当時ほかのミラーレス勢がクソみたいなEVFだったので、EVFはOVFに勝てないと言われていたのだ。
しかし、結局のところ、Aマウント機がブレイクすることはなかったわけだ。
EVFの性能などどうでもよかったのだろうか?
実はどうでもいいのだろう。ニコンZもEVFは絶賛されていたが、Z6Z7は売れなかった。今ではOVFが絶対的に優れている論すら耳にしなくなった。
ハードウェアの面では、あいかわらずのミノルタUIとグリップは素晴らしい。
ただジョイスティックがいただけない。
α700,900のときは設定事項自体が少なく、レフだったのでどうせ中央一点しか使わなかったわけだが、77は設定も多いのでいちいちジョイスティックで操作するのは難儀だ。
十字キーがほしい。また、操作自体がしにくい。
富士も十字キー廃止へ舵を切っているが、なぜそんなことをするのか。1~2万円高くてもいいからつけてくれ。
AF自体は悪くはない。
12連射AFAE追従は当時もニコキャノフラグシップ真っ青のびっくりスペックだが、今でも通用するだろう。スペック上は。
13年前の機種なので、ここはあかんなあと思ったのは高感度とトラッキング、起動時間である。明らかにダメだ。
逆に言えば、それ以外は問題がないと感じた。
あと今時のミラーレスはシャッター音が2回聞こえない(メカシャッターオンリーにしても)が、A77は二回きこえる。
確かに露出補正ダイヤルがどうも線形に数値が変更されない感じなのは気持ち悪く、当時も評判が悪かったようだが、そもそも露出補正不要を唱える私としてはどうでもよく、MRやP*でどうにかるだろうし、問題ない。
ただ起動がとんでもなく遅いこと(2~3秒待つ)がある。
これはほかのメーカーでは感じたことがない。
これはSONY機特有なのだろうか。コンデジではあるが、最近買ったZV-1もそうだ。妙に起動終了処理が遅いのだ。スナップショットには使えない。
割と新しいZV-1でもダメなのだから、Eマウント機も全般的にそうなのだろう。
そういえばRX100も起動が遅かった(終了はそうでもなかったが)。
ソニーのBIONZの基本設計に何かあるのかもしれない。α900にライブビューが搭載されなかった理由の一端はこの辺にもある気がする。
実際、A700とA900は遅いことは遅いが、Windows9x時代を彷彿とさせるような遅さじゃない。
ソニーのソフトウェアUIなのだが、あいかわらず使いにくい。
ISO変更する意味のなかったA900やA700では感じなかったが、ISOの変更が横スクロールではなく、縦スクロールなのがすごくやりづらく、オリンパスのスーパーコンパネになれた身としては、ゴミのような設定変更画面である。
しかし、オリンパスと比較すると全社劣るので、まあ、いいだろう。ニコキャノも大して変わらん。
トラッキングはマジ使えない。ハズしまくる。
高感度特性は悪く、ISO640が限界ではないかと思うくらいにはノイジーである。
が、今も当時の投げ売り価格(レンズキットが3万円台だったようだ)と同じくらいの中古価格なのでそれなりに評価されているのだろうとは思う。
俄然α99が気になった。
なにせα99は、位相差、象面位相差、コントラストAFの三本が使える数少ないカメラだからだ。
最後に画質だが、これは問題ない。2024年現在も通用する。もちろん、低ISO限定ではあるが、これはオールドデジカメ的には普通のことだろう。
MFTの終わりを感じた
私は一貫してMFTを擁護してきた。
でもこれは終わりだ。
413グラム、9.34センチ、倍率0.5倍、最短撮影距離14センチ、ISつき。防塵防滴。
それでいてフォーブリも押さえているらしい。
13万だってよ。
こんなもん出てきたらMFTの存在意義がもう、ない。
パナソニックは自分ところだろうが! フルサイズとMFTはチーム同士でいがみ合いでもしてるんか? ああん?
f4-7.1は暗いが、じゃあMFTでも同じようにやれるのか? といえば、やれないんじゃないか。
オリンパス12-100はf4通しとはいえ、かなり大きい。それに画素ピッチ的にフルサイズは2段ISOあげてもいいんだから、f4-7.1でも同等の画質だ。
RFの暗黒ズームは叩いてきたが、これは違う。28-200の焦点距離で10センチ以下なんだぞ?
もうだめだ。MFTに未来はない。
バッテリーグリップの怪
一般的にバッテリーグリップというと以下のようなモノを想像する。
上はBG-R10。キヤノンのR5/R6用である。
私はかねがね言っているのだが、この電池室挿入式のバッテリーグリップは何かいいことがあるのだろうか?
富士やパナのような底面の端子と接続するタイプの方がずっといいと思うのだが、カメラ業界は割と保守的というか、ユーザーが保守的なのでこれでいいのだろうか?
とはいえ、各社仕様が異なり、私はいくつかバッテリーグリップを持っているが、比較していきたい。
まずキヤノンである。
参考ページとして前述のデジカメウォッチを見てほしい。
電池室の蓋を外すというクソ仕様である。なぜかキヤノンはこのクソ仕様を延々続けており、理解に苦しむ。
次は、ソニーのA77のバッテリーグリップである。
こちらはなんと「電池室の蓋を外さなくていい」という素晴らしい仕様になっているのだ(赤丸の部分に電池蓋がそのまま収納される)!
あけたまま、突起をインサートすればいいのだ。なぜキヤノンはこれを採用しないのか。理解に苦しむ。
以下は参考サイト様。
ちなみにA900のバッテリーグリップも同様の仕様である。ちょっと見えにくいが、右側にくぼみがある。
だが、あろうことかソニーはEマウントでキヤノン方式に戻した。VG-C3EMは以下である。
同じサイト様が参考になる。
なぜ??? ホワイ??? である。
ソニーはミノルタ由来の素晴らしいUIを捨ててEマウントを始めたが、バッテリーグリップも素晴らしい仕様を放棄してしまった。Eマウントのバッテリグリップはキヤノン同様、クソである。
パナソニックと富士は非インサート方式である。以下はX-H1のバッテリーグリップ。
非インサート方式だと、底面の端子カバーをグリップに収納できるようになっている。
ちなみに、富士はバッテリーが二個はいるが、パナソニックは一個しか入らない。意味不明だ。
二個いれればいいじゃないか。なぜバッテリーグリップ装着時=二個という固定概念は堅持するのか。これまた理解に苦しむ。
というわけで、富士の非インサート式でかつ二個バッテリーが入る方式が最高かというと、違う。
私がこれまで触った中では以下がダントツである。
見たことない?
SAMSUNG NX1用のバッテリーグリップだよ。
これはパナと同じく1個しかバッテリーが装着できない仕様になっているのだが、非インサート式である。さらに、底面の端子カバーを収納するスペース(写真左側)があるばかりか、バッテリーグリップ側の端子カバーも収納できる(一体型になっている。赤丸部分)のだ! 完璧だ。
これで電池が二個入れば何も言うことはなかった!
上記のように富士の場合、外したバッテリーグリップ側の端子カバーをしまう場所がないのだ。
NX1はレビューでも書いたけど、ダイヤルでのAFポイント移動、レンズ側のi-functionボタンなど「そうだよ。それ」というUIを見せてくれた素晴らしいカメラだが、バッテリーグリップの仕様でも今のところ、ダントツである。
キヤノンとソニーには爪の垢でも煎じて飲んでほしい。
ちなみにニコンの仕様は知らない。
静物でもトラッキングを使えばいいという話
中央一点にしておいて、被写体をAFしてから、構図を変える。まあ昔からある手法だと思う。いつもそうしていた。
フォーカスレバーで移動するとか馬鹿くさくてやる気にならないからだ。
しかし、静物でもトラッキングを使えばいいという話をきいて、目からうろこだった。以前はこんなことを言っていたのに……。
私はAF-Cなど使わんよなあと思っていたが、そうか静物でももはやAF-Sの存在意義はないのか、と。
中央で被写体をトラッキングして、そのままAF-Cで構図を変える。
これからコサイン誤差もでないわけだ。
動体ならハズすようなカメラも静物ではハズすまい。
なるほど。
AF-Sは早晩なくなるのだなあと思った。それどころか、測距点が増えた関係で必要になったフォーカスレバーもお役御免になりそうだ。
キヤノンの視線入力や、そのうち搭載されるであろ音声入力があればAFはますます進化していく。
「電車」と音声入力し、AIが被写体を認識、複数認識した場合は視線入力で特定の被写体をトラッキングして、構図を決めてシャッターを切る。
親指AFも早晩死ぬ。
今ネックなのは被写体認識しても特定の対象を選択できないカメラが多いことだ。
人物が複数構図内にいる場合、特定の人物だけを認識してほしいとか、切り替えてほしいという要請に応えられるカメラは今のところないと思う。認識し、結局任意の人物をオートでトラッキングしてくれたら便利だろう。
よく撮影される人物をカメラが検知するようになるだろう。
すでにiPhoneの人物検知は高いレベルにあって、よくもまあ、こんな貧弱なデバイス(フェイスブックなんかはサーバの力を使っているわけだから)でできるもんだと感心する。
iPhoneにできて、一眼カメラにそれができないわけないだろう。
・そのうち一眼に搭載されるであろう機能
音声入力:前述の通り。
個人検知(AI)・登録(マニュアル):前述の通り。
被写体認識後の切り替え:前述の通り。
キヤノン以外も視線入力を採用:前述の通り。
ストロボなどのアクセサリとのBT接続:電動工具などに採用されているような形式。今もビデオグリップなどはそうだが。
グリップでのタッチセンサー入力:前述の通り。ワイヤレスイヤホンなどのボタンがたくさん搭載できないデバイスに見られるタッチ入力形式。タップ回数などによって異なった制御をする)によるボタンの減少(音声入力・視線入力も寄与するだろう)。
物理ボタンの排除:すでにiPhoneなどが採用しているセンサー式ボタン。これによって感触を変えることができる。シャッターフィーリングをユーザーが自在にできるようになる。
でもね、私は別にそんなもん要らない。
アマチュア向けデジタルスチルカメラはα900で完成したようなものだ。それ以上は必要なのだろうか。
MFTから移行できない、もしくは移行してもサブとしての仕様を続けている人はレンズのせいだと思う
MFTから移行できない、もしくは移行してもサブとしての仕様を続けている人はレンズのせいだと思う。私もそう。
12-40や12-100,150-400,90マクロ,10-25,25 f1.2といったMFTにしかないレンズの利便性が捨てがたいのである。
私も富士に移行して四年が経つが、今もMFTは手放していない。
特に何度も書いているが、富士における標準ズームの気にいらなさは筆舌に尽くしがたいものがあったが、18-120がようやく終止符を打ってくれそうだ。
12-40の幻影にこれ以上惑わされなくてもいいのではないか(まあ、18-120は寄れないから幻影は消えないが)。
また、パナ含めMFTのレンズ群は安物でもきっちり解像してくれる。
富士はアカン。
56mm新型のような極めて高品質なレンズもある中、クソみたいなレンズも多い。AFもレンズ毎にだいぶ違い、統一感に乏しい。レンズデザインもあまり一貫性がない。
このあたりが、MFTレンズはほぼ処分していない一方、富士のレンズは気に入らないものは処分してきた。
MFTレンズで処分したのはパナの単焦点が何本かだけだが、富士は所有レンズよりも売ったレンズの方が多い。
オリレンズもパナレンズも同時期にデザインされたレンズならデザインは同一だし、AF速度もほとんど差がない。
E-PL8という傑作
E-PL8はまだエントリーカメラが投げ売りされていた時期に売っていたので、モデル末期には5万以下でダブルズームが売っていたと思うが、2024年現在の視点で見ると、「すげえ……金かかってる」と思えてしまうから不思議だ。
そう。
E-PL8は金属外装で質感のよいダイヤルをもち、今となっては高級機すらチープなエンプラになった時代(X-S10のような)において顧みるに、エントリー機ですらそこそこデザインと材質にこだわっていたオリンパスの良心を感じる機種だ。
このあと、E-M5IIIのような高いのに安っぽい機種、機能制限したE-M10IIIなどをだし、最終的には撤退するのだが……。
まあ、オリンパスが赤字だったのはこの辺だよな、と思う。原価が高そうなのだ。
で、末期には焦って原価率の低い機種をだしてみたが、時すでに遅しだった、と。
E-300も当時10万を切る価格でダブルズームキットを出すことを目標に開発されたというが、キヤノンのKissシリーズなんかと比べるとだいぶん質感のよい機種だし、わざわざペリクルミラーまで開発していて、原価率が悪そうなのが目に見える(そのかわり背面液晶が当時水準でもクソな品質のものが採用されている)。
ヤフオクでも新品や新同品なら当時の店頭価格よりも高くなっており、納得である。
ソニーが中判に参入するという噂があるが、ソニーならやりそうである
ソニーが中判に参入するという噂があるが、ソニーならやりそうである。
さて、ソニーがPSをリリースした理由が任天堂の裏切り行為にあったというのは有名な話である。
ソニーのCD-ROM外付けデバイスをSFCに採用するという約束を任天堂が反故にしたのである。
当時ゲーム業界はまだまっとうな商売ではなかったし、大企業ソニーが本気で参入するような分野(大手も参入はしていたがあまり本気ではなかったように見える)ではなかったが、キレたソニーは本気になった。
PSは最初から赤字覚悟の商売であった。
任天堂に一矢報いるのが本当の目的だったからである。
そして、ソニーは実際のところ大きくシェアを獲得し、現在に至る。以降、Wiiの時期を除き、任天堂が世界シェアトップになったことはない。
1991年にソニーを裏切ったばかりに任天堂は得られるはずだった莫大な利益を失ったことになる。
ソニーの怖いところはパナのような日本的企業と違い、赤字でも最終的に勝てばいいというロジックで攻めてくることだ。
これはソフトバンクもヤフーBBを拡散するにあたり同様の戦術をとり、旧態依然としたNTTが値下げせざるをえず、世界一ブロードバンド料金が安くなったのも有名な話であろう。
実際Aマウントはそうであったようだ。
2000年代はコンデジが売れに売れた時期であった。
ソニーはコンデジでは大きなシェアを持っており、儲かっていたが、その儲けをあろうことかAマウントの開発費にあててしまっていたのだ。
実際、Aマウント自体は大赤字だったようだ(もっともレンズ交換式自体がカメラの歴史上、実は売り上げ的には傍系であるのは事実だが)。
しかし、これでノウハウが蓄積し、Eマウントがデビューするのだ。
とはいえ、初代α7はあの価格でペイできていたかどうかは非常に怪しく、いつもの赤字戦略だったのではないかと疑っている。
また、ソニーは撮像素子の外販によってノウハウを蓄積してきた。
そう。相手はニコンである。
ニコンがキヤノンと互角の戦いが出来たのも、Z9をリリースできたのも、すべてはソニーのお陰(正確にはソニー、ソシオネクスト、コパルのお陰。ニコンはボディに関してはアセンブルメーカーでしかない。レンズはさすがではあるが)である。
ソニーはニコンにフルサイズを供給することで技術的な蓄積を得ていったと思われる。
最初にソニー製で象面位相差を搭載したのはNikon1だが、これも実験の一環だったのだろう。
現在ソニーはフェーズワンや富士に中判センサーを供給しているが、この流れでいくと、ある程度市場の固まったデジタル中判市場に満を持して突撃してくる気がしないでもない。
フェーズワンも富士も殿様商売なので、ソニーの赤字戦略が火を噴くのではないか。中判デジカメをレンズキットで30万台でリリースしてくるのではないか。
ZV-E10という廉価なレンズキット機を唯一売っているのがソニーなので期待してしまう(キヤノンもR100のようなものをリリースしているが、ちゃんと発売時の最新機能を搭載しているZV-E10と比べるのはおろかだろう)。
ソニーは元々放送機器最大手である。
ファミリー用のハンディカムから、テレビ、ドラマ撮影までビデオ機材といえばソニーであるが、ソニーはシネマ分野は進出がイマイチだった。しかし、最近はシネマ分野も浸食している。
何度も言っているのだが、ソニーと互角に戦える現役のメーカーは内製比率の高いキヤノンしかない(かつて製造していたメーカーならSAMSUNGが一番対抗できたはずだが)。
アセンブルメーカーであるOMやリコー、富士フイルム、ニコンでは話にならないし、パナソニックもソニーセンサーありきだ。
オリンパスとニコンは元来、光学機器メーカーだったのでレンズ自体は内製が多かったが、レンズも中国企業が進出していて、コモディティ化が進行している。
また、レンズのエンコーダなどはソニーやニコンの自社製品などでも、中国企業が作ったモジュールを採用している場合が多いらしく、このあたりで中国企業はレンズ関連のノウハウを備蓄していったと思われる。