CAMEDIAっていう心底ダサいネーミングはだれが考えたのかね。
というのは置いておいて、今回手に入れたのはE-10である。早速ファインダーを覗く。
E-5のファインダーがFTサイズのくせに見やすいのは黒魔術なんじゃないかと、以前、述べたが、このE-10も黒魔術の産物であった。
2/3サイズのセンサーのはずなのだが、E-400系列やE-500系列よりも見やすいのはやっぱり黒魔術だと思う。
今回、ヤフオクでおよそ3000円で入手したが、2000年の発売当時20万円近くした高級コンデジである。
同時期にSONYのDSC-F707(2002)、その前身DSC-F505V(2000)などがあり、当時はこういった高級コンデジの需要があった。
20万円といえば、最近の高級コンデジの代表格のRX100M7、GR3などよりずっと高い。同価格帯なのはX100Vだけだが、X100Vは現状一番高いコンデジではないだろうか(ライカなどを除く)。
E-10がのちのE-1の源流になっているのは見てくれから明らかだが、さすが定価20万円、当時は一眼が高く、一般人はフイルム一眼をまだ使っていたご時世であるから、高級感に手抜きがない。
持ってわかる。こいつは只者ではない、と。
なにせ、コンデジでも買うか、ではなく、一眼が買えない人の受け皿として存在した機種だ。
SONYのF505Vもそうで、プラ外装ではなく、どちらも金属外装、4倍ズームのくせして巨大なレンズ、と一眼の代替品として十分なものとして設計されている。
ただ、当時のオリンパスのカメラに例外なくある糞な部分なのだが、ゴムの劣化がひどい。加水分解で融解し、合皮はずるずるに崩れる。
フォーサーズの中期以降は改善されているが、E-10は2000年発売であるので、もちろん、23年経って無事なわけもなく、速攻剥がしてパーマセルを貼った。
さて、オリンパスは光学メーカーであったので、E-10も光学部分に抜かりはない。
内蔵の電子基盤はカシオ製だといわれており、なるほど、当時の雄カシオなら電子部分もクオリティが高いに違いない。
最初にも述べたが、まずはファインダーである。見やすい。ただE-1で廃止されたが、この小さい丸型のアイカップはかなり見にくい。
ピントの山もつかみやすいが、ひとつ謎なのはバックライトでもあるのかスイッチオンでファインダーがかなり明るくなることだ。
あとこの機種が高級であったことがわかるのが、視度調節の幅が広い気がするのだ。調節自体はしにくいが、かなり範囲が広く感じる。実際はそうではないっぽいが。
E-10は数少ない素通しでもEVFでもない光学式ファインダーを搭載した一眼レフ式のコンデジであったが、これは当時のデジタル一眼が高くて買えない層への訴求力はかなりあったと思われる。
ただE-10は面白い構造をしていて、ミラーはないのだ。あえていうなら、のちのSONYのAマウント機が近い。
どうも00年代はSONYとオリンパスは似たような判断をしていたようだ。
ミラーの代わりに分光器が入っており、ブラックアウトフリー、煩いミラーの音もしない。シャッターもレンズシャッターなので静かだ。
音声を切ると、とても小さくクシュっというシャッター音がきこえるだけだ。
特殊用途で使われたという話もきく。
つづいて質感。
とても良いと思う。E-1ほどグリップがまだ洗練されていないが。
ダイヤルはダブルで、露出補正ボタンなど単機能ボタンが独立して配置されており(配置位置自体は何を考えてこんなところに置いてるんだ? と疑問しか出ないが)、高級機なのだと実感できる。
特徴的な形状はなんとなくビデオカメラっぽい。とはいえ、動画は撮れない。
あとアイピースシャッターを搭載している。お前本当にコンデジなの? と言いたくなる贅沢仕様となっている。
それから、E-1のカードスロットカバーよりもプッシュ式のE-10のほうが利便性が高く、電池蓋のロックが金属製なのだが、こんなタイプはあまり見ない。非常に堅牢だ。
E-1はツメがないから明確に劣化している。
社運を賭けたというE-1よりも品位で優っている部分がある。すごいことだ。これ、定価20万円とはいえ利益率低かったんじゃなかろうか?
レンズ交換ができないだけの一眼レフでしかない。
さて、背面モニターだが、当時の部材の制約で分厚いのはよくないが、ボタンで格納されたチルトモニターを起こすというこのタイプのモニターは最近の機種でも採用していいのではないかと思える便利さだ。
加えて、ライブビューができる。コンデジだから当たり前?? これは一眼レフです。
2000年にライブビューできる一眼レフ。すごい! 素晴らしいと思う。
一眼レフのライブビューでいちいちミラーアップしてうるさいし、遅いのが多い中、こいつはミラーないからとっても静かで速い。
レンズも4倍ズームのF2-2.8という当時のコンデジ界ではないようなレンズを搭載している。
これが沈胴式ではないのも素晴らしいし、手動ズームであって電動でもない。完全にスチル前提の機種のそれだ。実際動画は撮れない。
またマクロ撮影はさすがのオリンパス。素晴らしい出来だ。
欠点らしいものをあまり感じないが、致命的だと思うのは電池の消費量の多さである。
一眼レフなのになんでこう馬鹿食いするのか。
どうも当時から問題であったようだ。
どのへんにこんなに電力を食っているのか? と思うが、E-10はのちのオリンパス機には採用されていない電子コンペンセーターを搭載しており、ピントも電動でかなりがちゃがちゃ内部でいっているのがきこえるので、この辺が怪しいと思う。
最後にAFである。
AF方式もE-10はちょっと変わっている。なにせ一眼レフなのにコントラストAFなのだ。
しかし、ウォブらないうえ、早いのだ。明らかに早い。迷わない。そのかわり、おい、あってないぞ。早いがピントあってないぞ。ということが多い。
理由は赤外線AF搭載のせいだろう。
マジかよ。
赤外線って昭和のカメラだと思っていたわ。
さて、E-10はフイルムがまだ前線にあった時代のデジタルカメラである。
マニュアルには最大撮影枚数8枚(HQ,8MB使用時)とかいうとんでもない文言があるのだ。
私の記憶が正しければ、当時のHDDは普及帯で20GBとかだったし、メモリーカードの類も16MBとかが常用されていた気がするから、妥当ではあるんだけども。
ああ、あと最後にCFついてるからいいけどスマメは令和ではないわな。CFついてなかったら困ったところ。
そうそうブリッジカメラだね。こいつ。今思い出した。ジャンル名を。
しっかし、すごいカメラだと思う。23歳なんだぜ。こいつ。
オリンパスが持てる力の全力をかけたと思える。