ビデオカメラとスチルカメラの融合――そのようなことを考えている連中は少なかっただろう。なにせ、ミラーレス化すら拒否反応がでていたのだ。
しかし、開発者側ではデジタル一眼レフの出端からミラーレス化は予見されていた。それどころか、ビデオカメラと統合され、写真は動画切り出しになるとまで予測されていた。
そんなことはない! と怒るやつも多いだろう。
私もスチル派なのでわかるが、そもそも映写機が登場して以来、動画から静止画を切り出すというのは人類の夢の一つだった。
35㎜自体が映画用フイルムからの流用というのが示唆的ですらある。
35㎜の存在そのものが、動画切り出しという未来を予見させるものだった。ライカを称揚しているカメオタよ。
ライカこそ、スチルが従でビデオが主の世界の最初の一手そのものだった。
しかしながら、この夢はなかなか実現しなかった。最大の理由はコストだった。
映画用なら24fpsだが、たとえば、24fpsで5分撮影し、静止画を切り出すなんて、コスト的に現実的ではなさすぎるのだ。
が、デジタル化されたあとはコスト面の問題、そして、フイルムは物理的な面積を食うという問題も解決された。
スチルカメラがビデオカメラに統合されるのは時間の問題というか、Z9なんてほぼビデオカメラである。
スチル最後の牙城であるはずのメカシャッターがないのだから。
Nikon1は非常に高速なフレームレートで撮影ができたが、1インチサイズゆえに、画質に問題があった。
1シリーズもメカシャッターはなかったのでビデオカメラと言えなくもない。また、カシオには1000fpsという機種すらあった。
スチルは非常に高速なSSを必要とするケースがある。
しかし、フルサイズで1000fpsも出れば、ほぼあらゆる状況をクリアできてしまう。電子NDと組み合わせれば動画切り出しで対応できない状況なんてほぼ0である。
さらに、最近標準搭載になりつつあるプロキャプチャーなんてのは、レリーズボタンがレリーズではなく、保存開始ボタンといってもいいわけだ。
電子シャッターは常に切られており、レリーズはされているに等しいのだから。
人類の夢が今まさに叶おうとしている。