私が生まれたときにはすでに、カメラにはモードダイヤルがついていた。いまさら、モードダイヤルのない時代を語っているのは、もはや老い先短い老人でしかないだろう。いまの60台だって、一番写真を撮った時代(子供が小さい頃)のカメラはEOSのはずだ。
で、私は最初からこのモードダイヤルというものがよくわからなかった。世間では、なぜか富士フイルムみたいな操作性の方が難しく、モードダイヤルのほうがカンタンみたいな言説が多いが、理解できない。
なぜなら、最初、モードダイヤルの意味が最初はよくわからなかったのだ。
AUTOモードが一個あればいいではないか? と。T二桁機みたいな感じで。
モードを変えるとコマンドダイヤルの文脈がかわることが意味不明だった。なぜさっきは露出補正で、今度はSSになるの? と。わかりにくいと思った。モードごとに覚えないといけないし、モードによっていまコマンドダイヤルの設定項目が何になっているのか、表示もないのでわからない。
これは、私がMを基本にして考えていたせいだ。モードとは早い話、Mモードを規制するものにすぎない。Aモードとは、絞りを「優先」しているのではなく、SSを「ユーザー操作から規制」しているのだ。つまり、絞りがマニュアルなのではなく、SSが「AUTO」なのだ。
この考え方の違いがモード派と非モード派の食い違いなのではないか。モードダイヤル派は、自分が決めたい露出要素を選ぶダイヤルと考えている。非モードダイヤル派は、AUTOにすべき項目を決めることと思っている。だから、PとかAとかそういうことではなく、SSにMとAが、絞りにMとAがあると考える。そうなると富士式の方が直感的に理解できる。
私は富士フイルムの操作体系は簡単で直感的だと思う。むずかしいことはなにもない。
ISOの問題もある。
富士フイルム式の古臭い考え方なら、ISOにMとAがある。で終わりだが、モードダイヤルの場合、TAvモードだのなんだのと複雑さが増す。各社で考え方が違い、混乱も見られるし、キヤノンとニコンではモードの名称も異なる。