なぜ、ミドルレンジ以上のカメラには露出補正ダイヤルがついているケースが散見されるのか。はなはだ疑問である。ついているのはいい。しかし、普通、ISOダイヤルの方が優先順位が高いと考えないのだろうか。
ソニーのαもオリンパスPEN-Fも、XシリーズのX-T30などでは露出補正ダイヤルは残し、ISOダイヤルの方を削除している。
意味不明であるが、これがカメオタの要望なのであろう。
そもそも、優先順位として、
SSダイヤル
絞りダイヤル(レンズ側でもいいがレンズになければ本体に必須)
ISOダイヤル
露出補正ダイヤル
の順番のはずだ。もちろん、コマンドダイヤルに割り当ててもいいのだが、デフォルトで露出補正でダイヤルがあってISOダイヤルがないのは解せない。なぜか、簡単な話だ。(カメオタには簡単ではないかもだが)
フイルム時代は可変のパラメータは二つだった(ISOもフイルム交換すればいいが手軽ではないし、高ISOでも800程度なわけで無視できる。デジカメはとんでもなく高ISOが可能だ)。
が、デジカメでは三つだ。特に高感度撮影が充実してきた昨今、ISOは三つ目のパラメータで、露出を決めるためには重要なのだ。ISOの違いで何段も露出が変わる。ISOで変わるのは高感度耐性ではない。「露出」なのだ。
しかし、ISOをパラメータの一つと見做しているのは現状、PENTAXだけと思われる。証拠にTAvやSvモードがあるが、他社にはない。特許をペンタが保有しているという説がある。
他社はISOはオプションかなにかだと思っている(ISOと露出補正、WBがボタン押しながらコマンドダイヤルで変更、という方式は露出補正とISOとWBを同列に扱っている証拠と言える)。
おかしい。
露出補正は、あくまでも「補正」である。パラメータが決まってから、「補正」するものであって、三位一体のパラメ―ラのひとつであるISOよりも重要なことはあり得ない。
そもそも、露出補正なんてせんでも、マニュアル露出でSSや絞りを一段いじればいいだけだ。カメラ任せの露出補正を使う場面は多いだろうか? 多い人もいるのだろう。
しかし、頻繁に露出補正なんかするくらいなら、自分で露出を変えようと思わないのか不思議だ(マニュアルフォーカス厨に比べ、マニュアル露出厨は圧倒的に少数に思える)。露出補正は個人的には緊急用のニュアンスが強い。
なにせ、いまどきのカメラのオート露出は完璧に近いし、頻繁に露出補正しないなら、専用ダイヤルはいらないし、Pモードならコマンドダイヤルに割り当てられるから、専用ダイヤルはやはり要らない。
オートモード(カメオタは区別したいだろうが、AUTOとPはカメラの撮影の露出に関する原理としては同じものだ。同じものなので、各社差別化を図ろうとカメラの露出の原理とは関係ない区別を設けている。たとえば、NIKON1の一部機種のように、AUTOモードだとフォーカスエリア選択ができない、など。なのでここでいうオートとはPモードを指す)ばかり使っていると、露出補正を多用するのだろうか?
しかし、+1したら、勝手にカメラが補正するわけで、補正したい場所が選べないんだぞ。SSや絞りの変更は作品の仕上がりに影響する。SSは被写体ブレに、絞りは被写界深度に。
あえてアンダーで撮りたいとかこだわるなら、マニュアル露出すべきではないだろうか?
露出を操作したいとき、自由に三つのパラメータを操作したい。特にISOはノイズに直結するので、慎重にやりたい。勝手にあげられたりしてもイヤだ。
Mモードを金科玉条に称賛するカメオタたちは、なぜかISOを「マニュアル操作」することを認めない層がいる。SSと絞りがいじれても、ISOがオプションでAUTOになっていたら、そんなん「完全な」M露出じゃあないだろう。
片手落ちすぎる。
まえに価格.comでこのことに言及していた聡明なカメオタ(カメオタと呼ぶのは失礼だ。カメラ愛好家。注:写真趣味者ではない)がいたが、コメントがバカすぎて話にならなかった。
新しいMモードを追加しようとか。馬鹿かと。モード増やしてどうするんだ? そもそも、モードダイヤルなんて一番不要なダイヤルだぞ。なぜか、最重要視されているが。
パラメータは、SS、絞り、ISOのみっつだが、モードダイヤルなんかでやったら、混乱する。コマンドダイヤルの意味がモードによって変化する、これが初心者には混乱をもたらし、カメラを嫌いにさせる。Mモードでは絞りダイヤルだったが、Sモードでは露出補正ダイヤルになったりするのだから。私は混乱したし、いまでも嫌いだからフジの操作体系が大変良いと思う。
ハードウェアのギミックが一意に決まらないのは気持ち悪いし、デジタルゆえだと思うが、デジタルを嘲るカメオタもなぜか言及がない。
さらに、以下のようになってしまう。
・現在
モード 絞り SS ISO
P A A なし
A M A なし
S A M なし
M M M なし
注意しておきたいのはPENTAXで、MはISOもマニュアル。ISOがオートの場合はTAv。ISO優先のSvはあるが、TvやAvではISOはモードダイヤルでオート・マニュアルの切り替えはできない。
・追加した場合
モード 絞り SS ISO
P A A A
Sv A A M
A1 M A A
A2 M A M
S1 A M A
S2 A M M
M M M A
TAv M M M
これは酷い。
そりゃそうだ。パターンとして、2*2*2の8個あるからだ。8個覚えるのは初心者にはつらいことだ。そうではなく、普通に「合理的に」考えるなら、モードダイヤルではなく、切り替えスイッチを三つ用意すればいいだけだ(視覚的に何がAかわかりやすいと思う)。もしくは、各ダイヤルにAを設ける(富士フイルム式)。
そうすればモードなんて概念は要らないし、各社で微妙に異なる名称や仕様に汲々とせんでもいい。まあ、最も簡単な解決策はコマンドダイヤル三個を標準にすることだ。
四つでもいい。モードダイヤルでコマンドダイヤルの文脈が変わる仕様はわかりにくい。かといって、露出補正だけに専用ダイヤルを与えるのは間違っている。
「今の補正値」がわかりやすいという意見もあるだろうが、そんなこといったら、SSも絞りも現在値がすぐにわかった方がいいに決まっている。富士式が正解になってしまう(富士はSSダイヤル、絞りリング、ISOダイヤルも高級機には全部あるからだ)。
簡単な話だろうに。